不動産投資をするときには、大半のケースで不動産投資ローンを組んで物件を購入します。しかし、その融資条件は人によって異なるという点は意外と知られていません。
また、金利によっては現在不動産投資ローンを組んでいる人も、借り換えた方がお得な場合があります。この記事では、不動産投資ローンの融資条件、および借り換えについて詳しく解説していきます。
目次
不動産投資ローンの金利や期間について

まずは、不動産投資ローンの融資条件である、金利や期間について以下を知っておきましょう。
- 不動産投資ローンと住宅ローンの違い
- 金利や期間は借入者の年収や勤続年数による
- 金利種類
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
まず、不動産投資ローンと住宅ローンの違いは以下の通りです。不動産投資ローンと住宅ローンでは大きな違いがあり、その点を知らずに不動産投資ローンを借り入れるのはリスクが大きいです。
比較項目 | 不動産投資ローン | 住宅ローン |
目的 | 賃貸(投資用)物件の購入 | 自宅の購入 |
金利(変動) | 1%台~3%前後 | 0%台 |
審査項目 | 右記に物件の収益性を加える | 借入者の収入や信用情報など |
特に、不動産投資ローンと住宅ローンでは金利が大きく違います。というのも、住宅ローンは自宅の購入を目的にしているので、住宅ローンの返済原資は給与所得などです。
一方、不動産投資ローンの返済原資は保有物件の賃貸収入です。つまり、不動産投資ローンの返済原資の方が不安定なので、金融機関にとってはリスクが高いので金利も高くなります。
金利や借入期間は借入者の年収や勤続年数による
前項で解説した「審査項目」についてもう少し深掘りしていきます。
というのも、不動産投資ローンの金利や期間…つまり、「融資条件」は借入者によって異なり、それは、前項の審査項目が大きく関係してくるのです。
具体的には、不動産投資ローンの融資条件は以下の項目によって変わります。
- 借入者の収入額
- 借入者の職業や勤続年数
- 借入者の信用情報
- 物件の担保価値
- 物件の収益性
上記の項目によって、借入者の信用性が評価されます。そして、信用性の評価によって金利を何%で借り入れられるか?返済期間は何年で組めるか?が決まってくるという仕組みです。
当然ながら、信用性が高い人の方が低金利で借入でき、返済期間も自由に選ぶことができます。
借入者の収入額
まずは、借入者の収入額が重要です。というのも、金融機関は「年間返済額÷年収」で返済比率を算出し、その数値も審査に影響を及ぼすからです。
要は、年収のうち年間ローン返済額は何%か?を数値化するということです。当然、この数値は低い方が良く、金融機関によって「年収○○万円以下は返済比率××%以内」と基準を決めている場合もあります。
借入者の職業や勤続年数
ただし、年収額が高ければ良いというわけではありません。大事なのは、その年収が継続的に安定しているか?という点です。そのため、会社員や公務員は個人事業主や経営者よりも安定性が高く評価されます。
また、たとえば「勤続年数3か月」であれば、いくら大企業に勤務していても継続的にその収入があるかわかりません。そのため、職業だけでなく勤続年数も重視するのです。
借入者の信用情報
また、以下のような借入者の信用情報も金融機関は重視します。
- 過去の延滞歴(クレジットカードなど含む)
- 自己破産歴
仮に、数年前に一度だけクレジットカードの支払いを滞納してしまっても、履歴に残っている可能性があります。その場合は、金融機関から「信用できない人物」と思われてしまうかもしれません。
年収がいくら高く、安定した職業に就いていても、信用情報にネガティブな履歴があればローン審査に通るのは難しいでしょう。
物件の担保価値
また、金融機関は物件の担保価値も審査します。というのも、金融機関は物件に抵当権を設定するので、借入者が返済不能の状態になれば、その物件を処分して返済に充てるからです。
つまり、処分する物件の担保価値が低ければ、そもそも担保として成立しません。そのため、担保価値も審査項目になるのです。
たとえば、木造の築古物件や、地方の主要都市から離れたエリアなどは担保価値が低くなりやすいでしょう。
物件の収益性
また、上述したように不動産投資ローンの返済原資は「物件の家賃収入」になるので、物件の収益性も重要です。
そのため、購入する物件の稼働率や家賃相場など、将来的に収益を上げつづけられる物件かどうか?も審査されます。
金利と借入期間による返済額の違い
上記の審査項目によって、金利と借入期間が変わってきます。では、次に金利の違いや借入期間の違いによる、月々返済額の違いをみていきましょう。
金利の違いによる返済額の違い
仮に、借入期間25年、元利均等返済で不動産投資ローンを組んだ場合、金利および借入金額によって以下のような違いがあります。
借入金額 | 1.50% | 2% | 2.50% | 3% |
1,000万円 | ¥39,853 | ¥42,385 | ¥44,861 | ¥47,421 |
1,500万円 | ¥59,780 | ¥63,578 | ¥67,292 | ¥71,132 |
2,000万円 | ¥79,706 | ¥84,770 | ¥89,723 | ¥94,842 |
3,000万円 | ¥119,559 | ¥127,156 | ¥134,583 | ¥142,263 |
5,000万円 | ¥199,265 | ¥211,926 | ¥224,306 | ¥237,105 |
このように、金利が1%違うだけでも、月々返済額にすると大きな違いになります。
返済期間の違いによる返済額の違い
次に、返済期間の違いによる返済額の違いを見ていきましょう。以下は、借入金額3,000万円のローンを金利2%で組んだときの、返済期間による借入額の違いになります。
借入期間 | 総返済額 | 月々返済額 |
30年 | 39,918,769円 | 110,885円 |
25年 | 38,146,723円 | 127,156円 |
20年 | 36,423,456円 | 151,765円 |
15年 | 34,749,375円 | 193,052円 |
借入期間が短い方が月々返済額は高くなりますが、総返済額は少なくなります。つまり、借入期間を選ぶことができれば、自分の思い描いているキャッシュフローに返済額を合わせることができるのです。
このように、不動産投資ローンの融資条件は借入者のプロフィールや物件の収益性によるので、不動産投資ローンを組む前にその点は認識しておきましょう。
不動産投資ローンの借り換えシミュレーション

次に、不動産投資ローンの借り換えについて解説していきます。不動産投資ローンの借り換えは以下の点を意識して行いましょう。
- どのくらい支払い額が減るか?
- 借り換えに伴う費用はいくらか?
- 金融機関との関係性が悪化するリスクはある
どのくらい支払い額が減るか?
当然ながら、不動産投資ローンを借り換えるとメリットは、金利が下がることでどのくらい支払い額が減るか?という点です。
そのため、まずは金融機関へ打診して、自分が借り換えをするなら金利が何%になるか?ということを確認することからはじめます。
借り換えに伴う費用はいくらか?
また、借り換えには以下の諸費用が発生します。
- ローン取り扱い手数料:数万円or借入額に対して数%
- 保証料:同上
- 印紙代:数万円
- 登録関係費用免許税:10万円~
- 団体信用生命保険料:無料or金利アップ
- 一括繰り上げ返済手数料:金融機関のよる
借り換えに伴い金利負担が減額しても、上記が高額になれば意味がありません。
そのため、支払い負担の減額分と上記の金額をきちんとシミュレーションして、借り換えることで金銭的なメリットがあるかは必ず確認しましょう。
金融機関との関係性が悪化するリスクはある
借り換え時の注意点は、金融機関との関係性が悪化するリスクがある点です。というのも、不動産投資ローンを借り入れる場合は、借入先の金融機関との関係性が深くなります。
そのため、たとえば「今後規模拡大のために物件をどんどん買い増ししていく」などと考えている人は、借り換えすることで金融機関との関係が悪化するのはリスクといえるでしょう。
仮に、借り換えることで金銭的なメリットがあっても、この点を踏まえて借り換えするかは判断しないといけません。
不動産投資ローンまとめ

このように、不動産投資ローンの金利・借入期間という融資条件は、借入者と物件によって異なる点を理解しておきましょう。
そして、借り換えを検討している人は、金銭的なメリットをシミュレーションしつつ、金融機関との関係性も考えて借り換えの判断をする必要があります。