不動産投資のイメージとして「費用面で始めるハードルが高い」と思っている人もいるでしょう。確かに、不動産は高額なので初期費用が高くなりやすいのは事実です。
そこでこの記事では、「少額で不動産投資する方法」にフォーカスを当て、不動産投資にはいくら費用がかかるか?少額から投資は可能か?という点を解説していきます。
目次
不動産投資を少額からはじめる方法

不動産投資を少額からはじめる方法は、以下の点を知っておくことです。
- 物件取得費用を知る
- ランニングコストを知る
- 空室リスクを知る
- 格安物件のリスクを知る
- フルローンを組めるかどうかを知る
結論からいうと、自己資金ゼロで始めるハードルは非常に高いため、最低でも100万円程度の資金は用意しておいた方が良いでしょう。
物件取得費用を知る
まずは、物件取得費用である以下を知りましょう。
- ローン関係費用
- 登記関係費用
- 仲介手数料(中古購入時)
- 保険料(火災保険など)
- 固定資産税精算分
- 不動産取得税
新築物件は物件価格の4%~5%、中古物件は7%~8%が目安です。上記の物件取得費用もローンを組むことは可能ですが、非常にハードルが高いです。
そのため、物件価格の全額のローンを組めても、上記の費用だけは手持ち資金で捻出するものだと認識しておきましょう。
ランニングコストを知る
また、不動産投資は物件運営中のランニングコストとして以下がかかる点を知っておきましょう。
- ローン返済額
- 固定資産税・都市計画税
- 退去時の原状回復費用
- 管理委託手数料
- 火災保険料や地震保険料
- 管理費・修繕積立金(区分所有)
- 共用部の修繕費用(一棟投資)
- 税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)
- その他経費(物件運営のための交通費など)
上記のランニングコストがかかるということは、仮にこの費用を家賃収入で補填できないのであれば手持ち資金から捻出しなければいけないからです。
つまり、少額から不動産投資をはじめるときは、その突発的な費用は用意しておく必要があります。
空室リスクを知る
次に空室リスクを知りましょう。というのも、空室になるということは前項のランニングコストを手持ち資金から支払うことになるので、空室リスクが高いほど手持ち資金を用意する必要があるからです。
空室リスクを正確に読むことはできませんが、不動産会社へのヒアリングを入念に行うことで予測できます。その不動産会社の実績が豊富であるほど、エリアごとの空室率の精度は増すでしょう。
空室率を計算したら、その空室期間でランニングコストがいくら発生するか?を計算します。少額で不動産投資をはじめたとしても、少なくともその費用は手元に確保しておく必要があるということです。
格安物件のリスクを知る
少額から不動産投資をはじめるためには、物件価格も大事になってきます。物件価格が安いほど全額ローンを組みやすく、初期費用も安いからです。しかし、数百万円以下の格安物件には以下のリスクがあります。
- リノベーションが必要
- 空室率が高い
結論からいうと、不動産投資の初心者であれば1,000万円前後の物件が最低ラインといえるでしょう。それ以下の物件は、上記のリスクが高い物件が多いです。
リノベーションが必要
特に木造の格安物件は、外観や室内の劣化が激しい物件が多いです。そうなると、物件購入後にリノベーションや補修工事が前提のケースが多いので、不動産投資の難易度は上がります。
というのも、そもそもどの部分をリノベーション・補修すれば良いか?どのくらいの費用がかかるか?費用対効果はどのくらいか?は、経験してみないと予測しにくいからです。
空室率が高い
また、格安物件として「現在空き家で過去の空室率も高い」物件が挙げられます。この場合、確かに満室稼働すれば利回りは高いものの、空室が続くと赤字物件になるリスクがあるのです。
そのため、賃付け業者の正しい選定や、空室率を改善させるための対策などを講じる必要があり、それは不動産投資初心者だと難しいといえるでしょう。
フルローンを組めるかどうかを知る
次に、フルローンを組めるどうかを知りましょう。というのも、物件を全額ローンで組むことができれば、上述した「初期費用」と「空室時ランニングコスト」を確保しておけば問題ないからです。
フルローンを組むためには金融機関からの評価が高いことが条件であり、金融機関は以下の点を審査します。
- 年収と安定性
- 信用情報
- 物件の収益性と担保価値
年収と安定性
まずは借入者の年収と安定性を審査します。安定性とは、その収入の変動リスクが小さく、継続性が高いかどうかです。そのため、経営者や個人事業主よりも、サラリーマンや公務員の方が金融機関からの評価は高いです。
また、サラリーマンでも勤続年数が短かったり派遣契約だったりすると継続性が低く評価されてしまうので、勤続年数が長い正社員の評価の方が高くなります。
信用情報
信用情報とは、過去の延滞歴(クレジットカードなど)や自己破産歴などです。これらの履歴が残っている場合には、フルローンはおろかローンを組むこと自体難しいでしょう。それくらい、金融機関は信用情報を重視します。
物件の収益性と担保価値
また、不動産投資ローンの返済原資は「家賃収入」なので、購入する物件の収益性も評価対象です。さらに、金融機関は購入する物件を担保にするので、担保価値も重視します。
上述した格安物件は築古物件が多いため、担保価値が低く評価されやすいです。また、空室率が高いと収益性の評価が低くなります。
つまり、格安物件だと「フルローンを借りにくい」というデメリットもあるので、この点からも少額から不動産投資をするのには向いていないといえます。
不動産投資をはじめるときは100万円ほど用意しておく
ここまでをまとめると以下の通りです。
- 物件取得費用:新築で4%~5%、中古物件は7%~8%
- ランニングコスト:空室時にも発生するので手持ち資金必要
- 格安物件はリスクが高い:目安として1,000万円前後
- フルローンはハードル高いが無理ではない
これらを踏まえると、1,000万円の物件でフルローンを組めば、初期費用は新築40~50万円、中古で70~80万円です。
そして、突発的な支出に対応するためには、合計で100万円は確保しておきたいです。この金額が不動産投資を少額で行う最低ラインと思っておきましょう。
不動産投資を少額で海外で行うのは厳しい

不動産投資を少額で行う方法として、日本より物価が安い海外で不動産投資するという方法を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、結論からいうと海外での不動産投資は避けた方が良いでしょう。たとえば、日本より物価が安いものの、今後経済成長が期待できるフィリピンで不動産投資をする時は、以下のデメリット・リスクがあります。
- 融資条件が厳しい
- 土地の購入は難しい
- 賃貸管理会社の仕組みが異なる
条件が厳しい
たとえば、フィリピンで日本人が不動産投資をするときは BOD という金融機関が有名ですが、BODは頭金20%で融資期間は10年間です。
この時点で少額での不動産投資は難しいですが、ほかにも土地は購入できなかったり、賃貸会社が日本ほど手広く業務をしてくれなかったりします。
ほかの国はビザが必要
また、フィリピンはビザ不要で不動産を購入できますが、ほかの海外だとビザが必要な国も多く、そうなると取得費用や手間がかかってしまうのです。
その点を考えると、海外で不動産投資をすると、いくら物価が日本より安くても、結局は高額な資金が必要になることが多いでしょう。
不動産投資の少額に関するまとめ

このように、不動産投資はローンを活用することで少額で始めることは可能です。ただし、物件価格にもよりますが、100万円程度の資金は必要でしょう。
また、少額で海外の不動産投資を検討している方は、結局は高額な投資になるので避けた方が良いです。