不動産投資は、ほかの投資よりも初期費用や頭金が高くなりがちなのは事実です。そのため、不動産投資を検討している方は、不動産投資の初期費用はどのような項目で、どのくらいの金額がかかるのか?頭金はどのくらい必要なのか?を知っておく必要があります。
この記事では、そんな不動産投資に必要な初期費用や頭金に関して、具体的な項目を挙げて解説していきます。
目次
不動産投資の初期費用はいくら?

不動産投資の初期費用の以下の項目になります。
- 仲介手数料(中古購入時)
- ローン関係費用
- 登記関係費用
- 保険料(火災保険など)
- 固定資産税精算分
結論からいうと、初期費用は新築物件で「不動産購入額×4%~5%」程度、中古物件で「不動産購入価格×7%~8%」程度が目安となります。これらの初期費用の目安を以下より解説していきます。
仲介手数料(中古購入時)
仲介手数料は、中古物件を購入するときに仲介手数料に支払う報酬になります。仲介手数料については以下を知っておきましょう。
- 利率が決まっている
- 仲介手数料の計算例
仲介手数料は初期費用の中で最も高額です。新築物件の初期費用よりも中古物件の初期費用の方が高いのは、この仲介手数料があるからです。
利率が決まっている
仲介手数料の利率は、以下のように売買価格によって決まっています。
売買価格 | 仲介手数料率 |
200万円未満 | 売買金額×5% |
200万円超~400万円以下 | 売買金額×4%+2万円 |
400万円超 | 売買金額×3%+6万円 |
投資用不動産は400万円超のケースが多いため、仲介手数料は3%+6万円と覚えておけば問題ないでしょう。上記は、不動産会社が売主・買主それぞれに請求して良い仲介手数料の上限になります。
仲介手数料の計算例
では、実際に仲介手数料を計算してみましょう。以下が売買価格別の仲介手数料の上限です。
- 物件価格2,000万円:(2,000万円×3%+6万円)×消費税1.1=72.6万円
- 物件価格3,000万円:(3,000万円×3%+6万円)×消費税1.1=105.6万円
- 物件価格4,000万円:(4,000万円×3%+6万円)×消費税1.1=138.6万円
注意点は、消費税を加味しなければいけない点です。また、契約時に半金支払い、引き渡し時に半金支払うというケースが多いです。
ローン関係費用
ローン関係費用の内訳は以下の通りです。
- 保証料
- 手数料
前提として保証料と手数料は金融機関によって異なります。
保証料
保証料とは、借入者がローンを滞納したときに、代わりに残債を金融機関へ支払ってくれる「保証会社」へ支払う費用です。保証料を高く設定している金融機関だと、「借入金額×2%」になります。
そのため、仮に2,500万円の借入をする場合、保証料だけで50万円ほどの金額になる場合があるということです。保証料は、不動産投資の初期費用として、仲介手数料に次いで2番目に高くなりやすい費用になります。
手数料
手数料とは、金融機関に支払うローン事務取次手数料です。手数料も金融機関によりますが、数万円の設定の金融機関が多いです。
保証料が安く設定されていれば手数料が高く、保証料が高く設定されていれば手数料は安い…というパターンが多いため、保証料と手数料のどちらもチェックするようにしましょう。
登記関係費用
次に、登記関係費用は以下の項目です。
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
登録免許税
登録免許税は、以下の所有権や抵当権を登記する費用です。
- (新築購入)所有権保存登記
- (中古購入)所有権移転登記
- (不動産投資ローン)抵当権設定登記
登録免許税は不動産の評価額や借入額に一定の利率を掛けます。金額については、新築なら売主である不動産会社、中古なら仲介してくれる不動産会社にヒアリングしましょう。
司法書士への報酬
実は、司法書士に依頼せずに、資格を持っていない人でも登記することは可能です。ただ、実際は登記業務は複雑で煩雑なので、司法書士に依頼することが多いです。
その際、司法書士に報酬を支払いますが、費用は概ね5万円~10万円ほどです。金額は司法書士事務所によって異なり、物件の規模(区分か一棟かなど)によっても異なります。司法書士は不動産会社が斡旋してくれるので、自分で探す必要はありません。
保険料(火災保険など)
保険料とは、火災保険や地震保険のことです。不動産投資ローンを組むと火災保険は必須加入であり、地震保険は任意加入になります。また、一棟投資の場合はエントランスや外部廊下という共用部もオーナーが負担するので気を付けましょう。
火災保険や地震保険も不動産会社が斡旋してくれるパターンが多いですが、シミュレーションサイトを利用すれば自分でも事前に調べておくことができます。
固定資産税精算分
固定資産税精算分とは、買主が支払うべき固定資産税を売主に支払うことです。そもそも固定資産税とは、その年の1月1日時点での不動産所有者に請求される税金なので、売買契約が成立しても引渡したとしても、その年1年分の固定資産税は売主側が支払います。
ただ、たとえば2019年7月1日に引渡しを受けたのであれば、2019年7月1日~12月31日までは買主が固定資産税を支払うべきです。そのため、引き渡し時期に応じて固定資産税を案分し売主に支払うのが、「固定資産税精算分」となります。
不動産投資の頭金はいくらから?
不動産投資の頭金は「1割~2割」ほどは必要という話もあれば、最近では3割は必要という話もあります。しかし、仮に物件価格の3割の頭金を出せる人は多くないでしょう。結論からいうと、頭金がいくら必要かは人によります。ただ、金融機関のローン審査項目を知ることで、自分は頭金が多く必要なのか少なくて良いのかが分かります。
審査項目を知れば頭金額が分かる理由
頭金が必要ということは、物件を取得するときの自己資金率を高める必要があるということです。たとえば、3,000万円の物件を購入するときに、頭金ゼロ円で3,000万円を全額借入できるパターンもあるでしょう。
この場合は、頭金ゼロでも金融機関がOKしているということです。言い換えると、金融機関の審査項目的に「信頼できる人」と認識されているということなので、金融機関の審査項目を知ることで頭金がどのくらい必要かが分かってきます。
金融機関の審査項目とは?
金融機関の審査項目は以下の通りです。
- 収入の高さ:源泉徴収や確定申告書で審査
- 収入の安定性:サラリーマンや公務員の方が有利
- 勤務先の規模:安定している大企業の方が有利
- 雇用形態:正社員の方が有利
- 信用情報:過去に延滞歴などがあると厳しい
- 物件の収益性:物件の稼働率や築年数など
- 物件の担保価値:物件のエリアや構造・築年数など
たとえば、高年収かつ大企業の会社員で正社員、そして信用情報にも問題なければ頭金はゼロでもローンを組める可能性がありまう。一方、個人事業主や経営者の場合は、年収が高くても「頭金2割」などを要求されるケースが多いでしょう。
このように、借入者の属性や物件価値によって金融機関の判断が異なるので、「頭金は●割必要」と一概にいうことはできません。ただ、上記の審査項目を知ることで、自分は金融機関にどのように評価されるかは概ね分かります。
不動産投資の初期費用まとめ

上述のように、不動産投資の初期費用は新築・中古で異なりますし、借入額によっても異なります。ただし、初期費用の項目とおおよその金額は上記の通りなので、参考にしてみてください。大事なのは、初期費用を不動産会社に算出してもらい、自己資金額と照らし合わせて検討することです。