不動産投資の実質利回りと想定利回りの違いは?注意点4つ

不動産投資には「利回り」という指標があり、投資物件を選定するならば利回りは必ず理解しておかなければいけません。というのも、利回りは物件の収益性を分かりやすく数値化した指標であり、物件をスクリーニングするのに向いている指標だからです。

しかし、「利回り」とひとくちに言っても色々な種類があります。その種類ごとの計算式や概要、使い分けなどを知っておかないと、物件の真の収益性を算出することは難しいといえるでしょう。そこでこの記事では、実質利回りと想定利回りの違いを含め、不動産投資における「利回り」について詳しく解説していきます。

不動産投資の実質利回りと想定利回りの違い

不動産投資における実質利回りと想定利回りの違いは、想定利回りの家賃は「想定」である点です。つまり、実際はその家賃をもらえるか分からないのが想定利回りであり、空室状態の物件が想定利回りになります。

あくまで「想定」なので、その家賃収入をもらえないのであれば、将来的に利回りはブレる可能性が高いのが想定利回りということです。利回りがブレるということは、予定していた収益を上げられないというデメリットがあります。

一方、実質利回りは現在稼働中(入居者あり)の物件…つまり家賃収入がすでにある状態の利回りなので、その入居者が退去したり、家賃を滞納したりしない限りは、実質利回り通りの収益になります。この点を考えると、想定利回りよりも実質利回りの物件の方が、収益の精度が高い物件といえるでしょう。

不動産投資の実質利回りに関する注意点

前項で実質利回りと想定利回りの違いが分かったと思います。次に、実質利回りに関する注意点である以下を解説していきます。

  • そもそも利回りは3種類ある
  • 利回りと収益性の関係
  • それぞれの利回りの役割を知る
  • リスクを加味する
  • 長期スパンでキャッシュフロー表をつくる

そもそも利回りは3種類ある

ややこしい話ではありますが、想定利回りと実質利回りの2つの利回りを比較したときは、上述したように家賃収入が想定かどうかの話でした。しかし、そもそも利回り自体に以下3種類あります。

  • 表面利回り:年間家賃収入÷物件価格
  • 実質利回り:(年間家賃収入-経費)÷物件価格
  • 返済後利回り:(年間家賃収入-経費-ローン返済)÷物件価格

そして、上記の「年間家賃収入」が想定の場合もあり、実質(すでに入居者がいる場合)の場合もあります。

表面利回り:年間家賃収入÷物件価格

表面利回りはこのような計算式なので、最も簡単に算出できる利回りです。そのため、広告に記載されている利回りは、この表面利回りで算出しているケースが多いため注意しましょう。

実質利回り:(年間家賃収入-経費)÷物件価格

次に、実質利回りは表面利回りに以下のような経費を加味した利回りになります。

  • 固定資産税や都市計画税
  • 退去時の原状回復費用
  • 管理委託手数料
  • 火災保険料や地震保険料
  • 管理費・修繕積立金(区分所有)
  • 共用部の修繕費用(一棟投資)
  • 税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)
  • その他経費(物件運営のための交通費など)

経費を加味する分、表面利回りよりは精度の高い利回りになります。上記の経費は、実際に「物件運用に関する支出」のことです。

返済後利回り:(年間家賃収入-経費-ローン返済)÷物件価格

次に、返済後利回りは実質利回りにローン返済を加味します。ローン返済を加味することで、物件運営に関するほぼ全ての支出を加味するため、返済後利回りは手取り利回りとほぼイコールといって良いでしょう。また、3種類の利回りは計算式が異なるので、表面利回り・実質利回り・返済後利回りの順番でどんどん利回りは低くなっていきます。

利回りと収益性の関係

利回りで収益性を計算するときは、「物件価格×利回り」が基本になります。仮に、4,000万円の物件を取得したとき、利回りによる収益の想定は以下の通りです。

  • 表面利回り:4,000万円×利回り10%=年間400万円
  • 実質利回り:4,000万円×利回り6%=年間240万円
  • 返済後利回り:4,000万円×利回り3%=年間120万円

それぞれの利回りの役割を知る

前項のように、利回りは計算式が異なるため収益が異なります。そのため、それぞれ以下のような役割があると覚えておきましょう。

  • 表面利回り:物件をざっくり足切りする
  • 実質利回り:物件を絞り込む
  • 返済後利回り:最終的な収益性を測る

まずは、表面利回りで物件をざっくりと足切りします。たとえば、「利回り10%以上」としてネット検索するなどです。そして、表面利回りでざっくりと物件を絞り込んだたら、次に経費を加味して実質利回りで絞り込み、さいごに返済後利回りで収益性を測るという流れです。

はじめから返済後利回りを算出すれば良いですが、ローン返済額は実際に審査してみないと分からないので難しいのです。そのため、表面利回り→実質利回り→返済後利回りの順番で、物件をスクリーニングするという流れになります。

リスクを加味する

このように、利回りは物件を選定する上で非常に重要ですが、それに加えて以下のリスクを加味する必要があります。

  • 空室率
  • 家賃下落率

空室率も家賃下落率も、まずは不動産会社にヒアリングします。そして、空室率と家賃下落率を想定して、それを加味することで精度の高い収益性を測ることができます。また、家賃下落率は周辺物件の家賃を調べて、築年数別に並べると下落率が見えてくるので、参考までにやってみると良いでしょう。

長期スパンでキャッシュフロー表をつくる

前項の空室率や家賃下落率は利回りに織り込むことができますが、利回りのほかにも「キャッシュフロー表」を作成してみると良いでしょう。キャッシュフロー表は、以下のようにお金の流れを明記した表です。以下は、家賃下落率を年間1.5%減、空室率を年間0.5か月と想定した場合のキャッシュフロー表(単位:万円)です。

年数 CF 家賃収入 臨時収入
(礼金など)
ローン
支払い
経費 特別経費 備考
1年目 35 240 0 100 75 30 不動産取得税
2年目 61 236 0 100 75 0
3年目 38 233 20 100 75 40 退去時の補修費
4年目 54 229 0 100 75 0
5年目 -29 226 0 100 75 80 共用部の補修費
6年目 27 222 20 100 75 40 退去時の補修費
7年目 43 218 0 100 75 0
8年目 40 215 0 100 75 0
9年目 16 211 20 100 75 40 退去時の補修費
10年目 -47 208 0 100 75 80 リフォームなど
11年目 29 204 0 100 75 0
12年目 5 200 20 100 75 40 退去時の補修費
13年目 22 197 0 100 75 0
14年目 18 193 0 100 75 0
15年目 -65 190 20 100 75 100 退去時の補修費&
共用部の補修

このように、単なる経費だけでなく、臨時収入やたまに発生する費用(備考参照)も加味することで、長期間に渡って収益を上げられる不動産投資になります。

不動産投資の実質利回りまとめ

このように、不動産投資の利回りには、まず想定と実質がある点を認識しましょう。特に、利回りが想定の場合には、将来的に大きく下振れするリスクがある点は重要です。その上で、空室率や家賃下落率といったリスクを加味し、更にキャッシュフローを作成することで、精度の高い「物件の収益」を算出できるというわけです。