「不動産投資はリスクが高い」と思っている人もいるかもしれません。確かに、不動産投資のリスクとして、
- 空室
- 家賃下落
- 災害リスク
などが挙げられます。
ただし、物件取得前にこのリスクについて知っておくことで対策を講じることは可能です。今回は、この3つのリスクの概要を解説し、それぞれの対策についても合わせて解説していきます。
目次
不動産投資のリスクを回避する方法
それではさっそく「①空室リスク」「②家賃下落リスク」「③災害リスク」を回避する方法についてみていきましょう。
①空室リスクへの対策

1種類目のリスクである「空室リスク」について、以下の対策を知っておきましょう。
- 3種類の利回りを理解する
- 需要をきちんと見極める
- 現地は隈なく調査する
空室リスクへの対策は「物件の収益性」を正確に測るです。
3種類の利回りを理解する
まずは、以下3種類の利回りをしっかり理解しておくことが重要です。
- 表面利回り
- 実質利回り
- 返済後利回り
なぜなら、利回りを理解しないまま不動産投資をした場合、収益性の低い物件を購入することもあるからです。そうなれば、空室になったとき赤字に転落するリスクが高まります。
表面利回り
表面利回りは以下の計算式で算出されます。
・表面利回り:年間家賃収入÷物件取得価格
表面利回りは最も単純な利回りであり、ネットやチラシなどに掲載している利回りは、基本的に表面利回りになります。
実質利回り
つづいて、実質利回りの計算式は以下です。
・実質利回り:(年間家賃収入-年間経費)÷物件取得価格
実質利回りは、表面利回りに「固定資産税」や「管理委託費用」など、物件運営に関わる年間経費を加味した利回りです。つまり、表面利回りよりも現実的な数値になります。
返済後利回り
そして、返済後利回りの計算式は以下です。
・実質利回り:(年間家賃収入-年間経費-年間家賃収入)÷物件取得価格
返済後利回りは、実質利回りにローン返済額を加味した利回りになります。このように、返済後利回りは全ての支出を加味した利回りなので、最も現実的な数値といえるでしょう。
表面利回りだと高くなりがちな物件も、返済後利回りまで落とし込んでみたらガクッと落ちるケースは多いです。そのため、きちんと返済後利回りまで算出し、空室になっても耐えられる「リターンの高い物件」を選定しましょう。
需要をきちんと見極めリターンの高い物件を選ぶ
次に、需要をきちんと見極めリターンの高い物件を選ぶことです。「需要」に関しては色々な指標がありますが、以下は必ず調べておきましょう。
* 市区町村の人口推移
* 最寄り駅の乗降客数
そのエリアの人口は賃貸需要に連動しますので、行政のホームページなどで人口推移をチェックしましょう。全ての行政で公表しているわけではありませんが、たとえば渋谷区は右肩上がりに推移しています。
とはいえ、行政でみるとエリアが広いので、その次は最寄り駅の乗降客数を周辺駅と比較しましょう。というのも、乗降客数は駅のニーズを反映しているので、それはエリアの需要と連動するからです。
これらの項目をチェックし、きちんと需要を見極めてから空室になりにくい物件を選ぶことが大切になります。
現地は隈なく調査する
また、現地は隈なく調査しましょう。というのも、平日・休日、昼間・夜などで街の雰囲気は異なるケースもあるからです。たとえば、以下のようなギャップがあります。
- 休日の昼間は静かな街だが、平日の夜は駅前が騒がしくなる
- 休日は公園で家族連れが集まるが、平日は学生が集まり騒いでいる
- 平日の夜に駅から現地を歩くと意外と暗くて怖い
- 近くの大型商業施設まで歩いてみると、歩道が狭く坂道で歩きにくい
このようなことは、きちんと現地調査しないと分かりません。そして、上記のようなことは空室リスクにつながるので、現地は隈なく調査して賃借人が評価するような物件を選びましょう。
②家賃下落リスクへの対策

2種類目のリスクである「家賃下落リスク」について、以下の対策を知っておきましょう。
- 周辺の競合物件を調査する
- 新築はなるべく避ける
家賃下落リスクを避けるためには、長期の収支シミュレーションにきちんと家賃下落リスクを落とし込み、資産価値が下落しそうな新築物件を購入しないことです。
周辺の競合物件を調査する
まずは、物件を購入する前に周辺の競合(条件が近い)物件を調査します。そして、築年数と㎡単価ごとにエクセルにデータとして落とし込んでおきましょう。
そうすれば、築年数によって㎡単価がどのように下落するかが分かってきます。もちろん、同じように下落するとは限りませんが、長期の収支シミュレーションをする際の家賃下落率の参考にはなるでしょう。
新築はなるべく避ける
また、家賃下落リスクへの対策は、新築物件をなるべく購入しないことです。というのも、新築至上主義の日本では、「新築物件は住んだ瞬間に価値が2割落ちる」と言われるくらい、新築にはプレミアム価格が上乗せされています。
つまり、新築物件は価格が高いので、賃料も高く設定しないと高利回りで運用できないのです。しかし、「新築」という強みは短期間でなくなるので、高い賃料設定できるのは最初だけです。
たとえば、新築で入居した人が2年で退去すれば、次に賃借人を募集するときにはその物件は「築2年」となり、「新築」という強みはなくなっています。
一棟マンションや一棟アパートを新築するのであればスケールメリットがあるので問題ありませんが、区分マンション投資では新築はよほど目玉物件でない限りは避けた方が良いでしょう。
3.災害リスクへの対策

3種類目のリスクである「災害リスク」について、以下の対策を知っておきましょう。
- 地震が起きたときのリスクチェック
- ハザードマップのチェック
地震や浸水などの災害リスクがなるべく小さいエリアを選び、仮にリスクが高いと思えば地震保険などへの加入を検討しましょう。
地震が起きたときのリスクチェック
まず、地震大国の日本で不動産を取得するなら、以下の地震が起きたときのリスクチェックは欠かせません。
- 地域危険度マップ
- 液状化マップ
地域危険度マップ
地域危険度マップとは、地震によって起きる以下の被害リスクを数値化したものです。
- 火災危険度:地震によって発生する出火による建物延焼リスク
- 建物倒壊危険度:地震によって建物が倒壊する危険度(密集しているか否か)
- 総合危険度:上記を総合的に判断した危険度
上記のような客観的数値をきちんと確認し、そのエリアの地震による危険度を調査しましょう。
液状化マップ
次に、液状化マップをチェックします。液状化とは、地震による振動で地盤中の水分が結合して地盤が液状化することです。液状化すれば地盤沈下に伴い、建物が傾くなどの被害があります。
実際に東日本大震災では、震度5程度の揺れで東京都や千葉県の湾岸部で液状化が起きました。そのようなリスクを防ぐため、液状化マップでリスクを調査しておきましょう。
ハザードマップのチェック
また、ハザードマップで大雨時の浸水リスクも調べておきましょう。仮に、周辺に川がなくても注意しなくてはいけません。
というのも、最近はゲリラ豪雨…つまり短時間に膨大な雨量を記録する雨が多いので、川がなくても浸水するリスクがあるのです。特に、低層階を購入しようとしている人は十分注意が必要です。
不動産投資のリスク対策まとめ
このように、不動産投資のリスクである、空室・家賃下落・災害への対策を理解しておけば、物件選びの時点でリスクの小さい物件選びができます。そのため、上述した点をきちんと理解し、なるべく低リスクの物件を選定しましょう。